Wolf..





俺とイクヤがギャーギャー言ってる中、龍は困ったように頭をかき、俺の隣にしゃがんだ。



「…?」


「…まぁ…、なんだ…。最近、ウゼェ奴らが多いから…、こっちはこっちで人数足りないとゆーか…。」



心なしかチラチラと俺を見ながら龍は言う。

たどたどしく話す龍は、顔に似合わず、なかなか迫力が無く面白い。



「それでだ。…お前、中江沢からここまで、あの靴で来たことだし…。それなりに根性はあるだろ。」



目の前ではイクヤが『中江沢から!?』と驚いていた。

馬鹿な俺は、自分で歩いた距離も検討も出来ない。



「俺たちと…、その…あれだ…。」


「龍………、らしくないな……。」



言葉を途切らせる龍に、今まで黙っていたレイが言った。

レイと紺野と龍とイクヤが、どうして仲間になったのかが気になる。

あまりにも人種が違う4人に、共通点が見えなかった。



「俺らしくねぇって何だよ。」


「ユウ…。龍は、ユウに…、一緒にいようって……、言いたいんだと…、思うな…。」



一緒にいよう。

それはまるで、ラヴストーリーとやらの、ヒロインが言われるセリフのようだ。



「俺、なんかお姫様みたいだな♪」


「いや。俺が言いたいのは、そうじゃなくて…。」


「分かってるよ?一緒に悪に立ち向かうってことだろ?俺やりたい!」



単純な俺は右手を上げて笑顔で言った。

たんに、悪を倒すってことに憧れたこと。

そして、これが龍やみんなへの恩返しになればイイなと思ったこと。


あとは…、この機会に紺野と仲良くなって、更生させたいこと。

ただ、茶髪に触りたいだけだが。