Wolf..





レイが『帰って来た』と言ったとき、リビングのドアは開かれた。

レイが言った通り、龍とイクヤが帰ってきた。

出かけてから30分程度だろうか。



「ただいま。包帯巻いてやったのか。偉い偉い。」



龍は紺野の頭をクシャクシャと撫でる。

紺野は怖い顔して、振り向いた。



「玲がやったんだよ!触んな!」


「おー、こわ。」



あまり感情を剥き出しにしない紺野が、思い切り怒鳴った。

紺野の茶色い髪が大好きな俺は、紺野の髪をクシャクシャと撫でた龍を羨ましいと思った。



「アイツら弱いクセに人数ばっかし多いから疲れたぁ〜」



炭酸飲料を飲み、Tシャツをパタパタとさせながら、イクヤは言った。

よく見ると、龍とイクヤの服には、血のようなモノがついていた。



「お、お、お前ら…。今まで、何やってた?血…、ついてる…。」



俺は二人の服を指さし、少し裏声になりながらも訊ねた。

イクヤはクスッと笑い、空のコップを置いて言った。



「俺たち、何か分かる?」



意味深な言葉に、俺はみんなを見回す。

金髪、チビ、茶髪猫、黒髪赤ちゃん



「お、おぉぉ……。みんな顔が綺麗だ…!」


「お前、ズレてんな…。」



イクヤは溜め息をつき、再び笑みを見せた。

龍も溜め息をつく。

紺野はいつも通り無表情で、レイはルービックキューブをやっている。


俺は、足を伸ばしながら、イクヤの言葉をワクワクしながら待った。