Wolf..





「じゃ、あと頼んだぜ。」


「頼んだぜ♪」


「は?」



龍と童顔は紺野にそう言い放ち、家を出て行った。

紺野はチラリと俺を見て、深く溜め息をつく。


まるで俺が邪魔者みたいじゃないか。

事実だけれど。



「あっ、あのさ!紺野はアイツらとつるんでんの?」


「…………別に……。」



気まずい雰囲気が俺たちを取り巻く。

気まずいだなんて、俺しか思ってないかもしれないが。


そんな空気を壊したのは、どこかの扉が開く音だった。



「…?他に誰かいるの?」



紺野が答える前に、ソイツは現れた。



「ぎゃっ!!!」



俺は奇声を発し、ソイツから勢いよく目をそらす。



「…………誰…」


「俺のクラスのやつ。…玲、いいから服着ろ…。」



ソイツは“レイ”と言うらしい。

一瞬しか見なかったけど、かなりの男前だ。

綺麗な黒髪に、切れ長の目。

その瞳に吸い込まれちゃいそうだ。


そして…

白いネコが赤いリボンをした、日本でお馴染みのキャラクターのバスタオル。

それを腰に巻いただけの姿は、その男には似つかわしくなかった。



「俺、深山由羽!龍って人に助けられて…」


「振り向いても…大丈夫…。着替えた…。」


「う、うん!」



ゆったりとした喋り方は、俺の喋り方とは対照的で、なんだか気が狂う。

それにしても、バスタオルだけの姿は、俺には少し刺激的すぎた。