Wolf..





「遅かったな、龍っ!…え…?」



男に向かって“龍(リュウ)”と言った童顔の男。

童顔は、俺を見て、まさに目が点になっている。



「深山……っ!?」



童顔の隣の男は、急に立ち上がり、何故か俺の名字を叫んだ。



「………紺野…?」



そいつは紺野だった。

あの黒ぶち眼鏡を外していたから、誰かはすぐ分からなかったけど…

そいつは紛れもなく、紺野だった。



「あ?お前ら知り合いかよ。」


「うん。俺と紺野、クラスメートだよ!」



龍は、ニヤニヤしながら紺野を見る。

紺野は学校でいるときのように、ムスッとした顔をしている。



「てか!龍、そいつ誰だよっ!!」



童顔が俺を指さして、龍に言う。

俺に敵意むき出しのご様子。



「道で拾った。そーいやぁ、名前聞いてなかったな。」


「俺、深山由羽!アンタは龍って名前?」


「ユウね。俺は相模 龍一(サガミリュウイチ)。コイツらは、龍って呼ぶけどな。」



そんな和やかな雰囲気の俺と龍を、紺野や童顔は、不思議そうに眺めていた。



「そういえば龍!例の黒月のヤツらから電話きた。行こうぜ?」


「黒月か。ザコだな。どうせイチャモンつけてきたんだろ?ま、さっさと片付けるか。」



童顔と龍は、よく分からない話をしている。

龍と童顔と紺野は、どうやら友達以上の仲間のようだ。

紺野の知らない一面を見れた気がして、少し嬉しかった。