「ここ。俺んち。」
男の言った通り、さっきまで俺が座り込んでいたところから家までは、5分程度で着いた。
男の家は、1階建てのようで、外観からしてそれほど広くはない。
「明かり、つけっぱじゃん。電気代もったいないぞ?」
家の明かりは付いたままで、少しダラシないと思った。
「いや、それは…。まぁ、とりあえず降ろすぞ。」
「お、おう。サンキュな。」
家に着いても、ずっと男の首を抱きしめていたことに気づいた俺は、顔を赤く染める。
暗い外に感謝だ。
「立てるか?」
「ん…。痛いけど、こんくらい平気。」
俺は足に負担をかけないよう、ヒョコヒョコと男の後ろを歩いた。
男が玄関の扉を開けたときだった。
「ダメー!!それ俺の!テメェ食うな!」
「もう食ったし。」
「戻せ!!!そして死ね!!!」
複数の男の声が、俺の耳に勢いよく飛び込んできた。
隣にいる男の顔を見ると、少し困った顔をしていた。
「友達いるの?」
「ダチっつーか…。ま、入れや。」
「おじゃましまぁす…。」
騒がしい中、苦い顔の男の後をついていく。
男は、リビングであろう
そして騒がしい声の根源だろう部屋の扉を開けた。
