Wolf..





俺的に、出来るだけキツく言葉を浴びせたハズなのに、何故か男はクスリと笑った。



「チビだな。」


「なっ……!」



いきなり悪口を言われたことに、少し腹を立てたのもつかの間

男はしゃがみ、俺の目線に合わせた。

ガキみたいに扱われてるようで、ムッときたけど。



「足、やべーじゃん。」


「……関係ないもん。」


「歩けないっしょ。」



ニヤニヤ笑いながら言う男に、先ほどの恐怖は感じない。

だが、カンに障る。


むうっとした顔をしてる俺に呆れたのか、男はゆっくり立ちだした。



「おら、立てチビ。」


「わわっ…」



立ったかと思えば、俺の腕を握り、勢いに乗せ俺を立たせた。

熱い痛みを持つ膝と足の指。

立つだけで、こんなにも痛いのに、歩くなんてままならないことが改めて分かった。



「…まだ、痛むよな。」


「う、うん。」



急に真面目な声になる男に、驚く。

最早この状態なら、誰でもいいし、この男でもイイから、俺を背負って家まで届けて欲しいと思った。



「よしっ!」



男は何か気合いをいれて、意気込んでいるようだ。

是非とも、おぶってくれ。

…とは言えないが、見知らぬ俺に話かけるヤンキーも珍しいから、“まさか”も有り得るかもしれない。


おぶってくれ!!


俺は心の中で、なんともプライドの無い言葉を叫んだ。