「とりあえず何食べるか決めよ。」
周りを仕切ることが嫌いじゃない俺は、意外にもテキパキと話を進める。
焼きそば、焼き肉、お好み焼き…
様々な案が出るなか、やはり話し合いに参加しようとしない紺野。
「……おい。お前も喋ろよ。」
真白たちがワーワー話し合いをしているなか、俺は黙りこくる紺野に言う。
「別に…。俺、食べたいモン無いし。」
顔を横に向かせたまま喋る紺野。
性格ひん曲がってるのかと思う。
「ハァ!?肉食いてぇとか思わないのかよ!!」
「…肉より、魚の方が…好きだし…。」
コイツにも好みの食べ物があるのだと感心し…
じゃなくて、なんか猫みたいだと思った。
「じゃぁそう言えばイイだろーよ。焼き肉とかに決定したら、お前可哀想だろ。」
「…別に。」
『別に』ばかり繰り返す紺野に、少しだけムカッときた。
浮いているんじゃなくて、仲間に入ろうと思ってないのかも。
なつかせるのが大変そうな猫だなと思い、猫好きの俺の胸が疼く。
「お前、面白いなっ♪」
「触んなよ。」
「やや。綺麗な茶髪だと思ってつい…」
ワシャワシャと天パっぽい茶髪の髪の毛を触る。
黒ぶちメガネの茶髪に、少し興味を持った。
「由羽〜、焼き肉でイイ?」
真白たちを見ると、全員、利害が一致したような顔をしていた。
チラリと紺野を見るものの、無表情で。
「…ん。焼き肉でいんじゃね?じゃぁ買い出し係決めるか。」
─結局その日は、紺野の観察ばかりしていた。
アイツ、ずっと寝てたけど。
