「──由羽、起きなよ。」
「ん………。」
目の前に広がる景色。
色々と文字が書かれている黒板に、眉毛をつり上げている担任の“よっちゃん”。
「やっと起きたか……。」
低い声で言うよっちゃんと、黒板を交互に見る。
黒板には、
〈野外レクリエーション(炊事遠足)
実施日時 班 班長 〉…
などと書かれていた。
「深山。お前は2班の班長だ。俺が勝手に決めた。」
「班長〜!?よっちゃん、冗談よせよ〜」
「タメ口きくな!阿呆!!」
クラスに笑い声が響き渡る。
どうやら、今は、来週行われる炊事遠足について話し合いをしていたようだ。
「では、班に分かれて、買い出し係とか決めてくれ。」
みんなが席を立ち、机を合わせたりして班を作る。
「由羽♪真白と一緒だよ!」
「お。まじか。」
狭い通路を通り、寄ってきた真白。
俺は黒板を見て、班のメンバーを確認した。
「深山ぁ!ここ〜!」
見るからに馬鹿な原田が手を振る。
あぁ、そこのヤツらと一緒か。
と思いながら、もう並べてある椅子に座った。
「えーと…?俺と、真白と、原田と、川崎と、紺野…。これで2班全員?」
「うんっ!」
浮いているやつが約1名。
紺野 翼(コンノ ツバサ)。
地味なワケでもなく、ちゃらいワケでもなく…
クラスの中で、1人だけ浮いてるんだ。
