「ニコ鈍臭いから絶対捕まったと思って心配したよぉぉ」


「プッ」



抱擁する私達の背後で藤岡くんが吹き出す。



「藤岡?何で?」


「あのね、先生に気づいた藤岡くんが助けてくれたの」


「それで!!」


「藤岡くん、どうして笑ってるの?」


「いや、松永さんって皆に可愛がられてるんだなぁと思って」



どういう意味だろ?



「じゃあ、僕はお邪魔みたいだからこれで」



去っていく藤岡くんに大きな声でもう一度お礼を言う。



「本当にありがとう!!」



藤岡くんは振り返り、返事の変わりに笑顔を見せて帰っていった。