日本人が授かった、素晴らしい"笑って誤魔化す"というスキルも、この男には通用しないらしい。 そして、この男の中には"大目に見る"っていう、慈善に満ち充ちた言葉も存在していないらしい。 「――返事は?」 黒曜石のように深く鋭い眼光に見下ろされ。 形のいい赤い唇から落とされる、低周波の声。 …威圧感ありすぎだ。 許されるのなら、尻尾巻いて逃げ出したい。 それでもなお、ここに留まり続ける私を、いっそ一思いに誰か褒めてくれ。