確かにバツ印ばっかりだったが、後半の手付かずで奪われてしまった問題は。
「っ」
そこだけは、バツもマルも、なんにもない状態で。
受け取った時と寸分の変わりもなく、そのままだった。
どうやら、また解き終わったら採点してくれるつもりなのだろう。
分かりにくい優しさは、気づいてしまえば、なんだかムズムズと擽ったい。
どうせなら終わるまで待ってて欲しい、なんて、思ってしまう私はとんだ甘ちゃんか。
「…言われなくたって。」
やるもん。やってやるもん。
その先はぐっと飲み込んで、代わりにぺいっとプリントを奪い取る。

