「せーんせ、」 目的地にたどり着くなり、入り口から背を向けるように腰掛けていた背中に声を掛けてやる。 そうすれば、肩ごしにちらと振り返ったその顔。素晴らしい造形美。 驚いたようでしばらく瞠目していたものの。 それはほんの一瞬のことで、すぐさまそれはすうっと優しげに細められて。 「おや、那都(なつ)さんではありませんか」 人あたりのいい、柔和な笑みに迎えられた。