チク、タク、と寸分の狂いもなく鳴り続ける壁掛け時計。 (もちろんこの部屋の時計は電波時計ではない。) ――相反して、バクバクと狂い乱れ始める私の心音。 カッと頭に血が昇って、思わず睨みつけてやれば、"してやったり"顔で器用に右の口角だけを持ち上げてみせた先生と目が合った。 女としてあるまじき行為であると重々承知であるが、目をカッと見開けば見開くほど、反比例するかのように先生は切れ長の目をすうっと三日月のように細めていく。