「さあ、そろそろお喋りはよろしいですか?」 ピタと冷たい手を顎に宛てがわれて、至近距離で声がする。 どうやらスイッチが入って完全にその気になってしまったらしい。 「…いや全然よろしくないんですけど」 というかお喋りをしたつもりもない。 だけどもそれを言ったところで先生には1ミリたりとも理解されないだろう。 「僕もいい加減、我慢の限界なんです」 ――ほら、ね。 人の話聞く耳すりゃ持ちゃしないんだから。