彼に強引にされる




「何故です? 僕はこんなにも貴女に触れたいのに」



耳を塞ぎたくなるような、歯の浮くような、そんな恥ずかしい台詞。



「…その生意気な唇も、今すぐ塞いで差し上げたい」



勿論、男なんていう生物に耐性のない私だから、耳まで真っ赤になる。

トマトよりも真っ赤な、ビビッドカラーの原色の赤。


叩かれたように頬が熱く焦げるよな熱をもつ。



「馬っ鹿じゃないの…?」



せいぜい悪あがきにしか過ぎないとは思う。


それでも頬の赤を気づかれたくなくて、逃げるようにして私はバッと視線を下に落とした。