「ラッキーここならセンコーいないし、タバコ吸えるじゃん」


ホント、そんな軽いノリ。深い意味もなくたどり着いたんだ。


重いドアを開けると人が見えた。


「先客…」


屋上のドアは重いから、開ける時はだるいし、閉める時はバンッと、大きな音がする。



バンッ


その音に先客は振り返った。



…振り返った瞬間、顔が見えた瞬間、『あぁ、俺こいつの事好きになる』って思った。

話してもない、声すら聞いてない。ぶっちゃけ分かるのは、女って事しか分からない。

だから、多分一目惚れだったんだろうな。





胸がドキドキする。

目が合わせられない。



だからあえて遠くに行った。


落ち着け、落ち着け俺…。
と、とりあえずタバコ、タバコっと…。



タバコを加え、ライターを探す。いつも胸ポケットに入れてる。


…それがない。


あーくそう!いらつく!!





「かそっか?」



顔を上げると、あの女がいた。