お礼、御礼をしないといけないと、思った。



『あの!』


2人同時に声をかける。
私は優くんに譲ろうとした。


「どうぞ」

優くんが私より先に譲ってくれた。


「あ、ありがとうございます。えと…


昨日のお礼で…全部払うので一緒に食堂…」


私が言い欠けると、優くんは、笑顔で

「いいよ」

と、言った。


(優くん、優しい…!)

「そのまえに、君の名前、聞いて良い?」


優くんは私に尋ねてきた。
私はお返しに、笑顔で「いいですよ」

と、言った。


「私は、奥原 優梨亜っていいます。

優梨亜の“ゆ”は、優くんと同じ優なんです。」


思っていたことが、余計に口から出てしまった。

また、心臓がドキドキする。
緊張が戻ってきた。


「へぇ、そうなんだ!一緒だね。」

優くんは優しく、返事をしてくれた。


すぐに緊張はほぐれ、笑顔になった。