でも、そこには雛はいない。
僕はそのときわかった。

どんなに雛が大事だったか。
ずっと一緒にいて、当たり前だったから。
雛と一緒に小学校に行くのかな?とか考えたこともあったし、

いつか悠司が僕に勉強を教えてくれる日がくるのかな?とか
すごく楽しみにしてたし。


「どこ・・・いった・・・・。」




僕の体力は既に限界を超えていた。
「春!!」

「あ・・・。」

「全く、探したんだから。家に早く帰ろう。」

「お母さん・・・。」

そういえば辺りは真っ暗だった。
お母さんは僕の手を引いた。