蜜月 -love is blind-【BL】

「――イイ様だ」


 一歩近付いたヤツが、俺の肩を蹴る。


「これで、……満足かよ」


 下から睨み上げるヤツの顔は、気持ち悪いくらい歪んだ笑みを浮かべてる。


「……来いよ」


 その一言に俺が立ち上がると、先輩は部室棟の前に回り込んだ。


「ここに、神宮がいるのか?」


 職員室から持ち出したのか、一番端の扉に鍵を差し込む。

 カチリと音が聞こえて、お前が開けろ、とばかりに先輩が下がった。

 息を飲んで、俺はノブを回す。


「神宮……!?」


 扉を開けて中に声を掛けた瞬間。


「ぅ、わ……ッ!?」


 背中を蹴り飛ばされて、俺は部室の中へ転がり込んだ。

 噎せて起き上がれないでいると、バタンと音がして、視界が一気に暗くなる。


 ――閉じ込められた!?