「――閉会式、始まるよ」


 不意に聞こえた声に、俺は顔を上げる。


「よく俺が屋上にいる、って分かったな」


 出入り口の壁に寄り掛かってぼーっとしていたら、神宮がやって来た。


「君、高いところ好きそうだから」

「は?」

「馬鹿と煙はなんとやら」

「……おい」


 みなまで言われなくても今回はちゃんと分かったぞ。

 コイツはすぐに俺のことをバカだなんだって言いたがるからな。


「堤くんが君を探していたよ」

「堤?」

「バスケの賞状は君に受け取らせたい、って」

「あんな青春バカは放っとけって」


 バスケの決勝戦。

 僅差で、2組の負け。


「準優勝って、凄いと思うけど」


 別に、負けたのが悔しくて屋上でサボってる訳じゃない。

 ただ、何て言うか。


 ――自分に負けた気がして……。


 あと少し、ってところで、踏ん張れなかった。