体育館は、2つのクラスを応援する生徒でごった返してる。

 2組の集団の隅に、神宮の姿を見付けた。

 そういやアイツ、ドッジボールの試合で突き指したんだよな。

 どんだけトロいんだよ……。

 勉強以外苦手そうだもんな。

 体育の授業も何だか必死な感じだったし。

 つか、体力自体無さそうに見える。

 ……いや、あるわけねぇよ。

 制服が夏服に変わった時、アイツの腕の細さにびっくりしたんだ。

 俺だって体格がイイ方じゃねぇけど、陸上やってたなりの筋力はある。

 きっと、ああいうひょろいヤツを『モヤシっ子』て言うんだ。


 俺がひっそりと溜め息を吐いた時。

 審判役のバスケ部員がコートに入ってきた。

 もうすぐ、決勝戦が始まる。

 そう思ったら、たかが球技大会なのに緊張感が襲って来た。

 陸上の競技会の時みたいな、気持ちがピンと張り詰める心地好さ。


 ピッ、っというホイッスルの合図で、試合が始まった――