俺がやっているのは、陸上競技の一つである走り高跳び。

 バーを超える瞬間に見える空が綺麗だとかって、誰か言ってたけど……俺はそんな風に思ったことが無い。

 目の前にあるバーを越えるだけ。

 それだけなんだよ。

 高跳びという種目に魅力を感じるとか、誇りを持ってるとか、そんなのこれっぽっちも無くて。

 とにかく俺は、跳ばなきゃならないんだ。

 周りの期待に応えないとならない。

 そう、教え込まれてきた。

 言われるままに跳んでいたら、競技会で入賞して、大会記録なんかも持っている。

 だから、清泉みたいな有名校に入れた。


 要するに俺は、陸上やってなきゃ、ただのバカってことだ。

 自分でしっかり自覚してるんだから、そこら辺でたむろってるヤツらよりはいくらかマシだろう。