「ねぇ」


 何て声を掛けようか迷っていたら、珍しく神宮から話し掛けてきた。


「友達って、何だと思う?」


 俺も神宮も、背を向けたまま。

 言葉だけが、向かい合う。


「……んだよ、急に」


 その声が余りに真面目なものだったから、茶化したり誤魔化したりする事なんて出来なくて。

 神宮からの問いかけの答えに困った俺は、それ以上言えなかった。


「少なくとも、他人が決めるものじゃないと思うんだ」

「まぁ、そうだよな」

「何をどうしたら友達、っていう、決定的なものも無いと思うんだ」

「あ、ああ……」


 やばい。

 話についていけなくなりそうだ。

 そういう小難しい話は、咲都とやってくれ。