教室を見渡すと、昼休みを色んな風に過ごすヤツがいる。

 話したり、ふざけたり、寝ていたり、音楽を聴いたり、本を読んだり。

 その中でも俺は神宮の姿に目を留めた。

 無駄に背筋を伸ばして本を読む神宮は、確かにこの空気から外れている……ように見える。

 俺も、そんな風に映ってるのか。

 別に、それが悪いとは思わないけど。


 頬杖を突いている俺の視界に、無理矢理堤が割り込んできた。

 ……ウザイ。


「青春、て感じ?」

「何がだよ」

「何だろうね!」


 うわ、何かすっげーむかつく!


 あはは、と笑う堤に向かって手を伸ばした俺は、綺麗な富士額のそこを軽く叩いた。


「痛いじゃん」

「叩きやすそうだったから」


 額を抑える堤は、それでも嬉しそうに笑ってる。

 俺は、そんな堤につられて笑いそうになるのを堪える為に、机に突っ伏した。