「何でだと思う?」

「アイツそのものじゃねーか」

「違うよ。何日か前に高槻が公衆の面前で謝ってたでしょ」


 公衆て……クラスのヤツらじゃねぇかよ!


「不良の代名詞みたいな高槻が」

「おい、随分な言いようだな」

「残念だけど、俺は高槻のこと怖くないよ」


 野球部の部長の方が何倍も怖いから、と堤は笑う。


「とにかく、みんなが怖がってる高槻が神宮に謝ったんだよ。この意味分かる?」

「お前、俺のことバカにしてんのか?」

「あはは。中間の順位は俺の方が上だよねー」


 コイツと話してるのは疲れる……。

 悪いヤツじゃないのは分かってるんだが、掴み所が無くて何を言ってもするりと躱されてしまう。