「……くそっ」


 俺は昨日の事を謝りたいだけなんだ。

 それなのにどうしてアイツは俺の話を聞かないんだ!


 苛々する。

 苛々する。


 なんで、上手くいかない。

 ただ、話すだけだろ。


 ――俺の話を聞こうとしない神宮が悪いんだ!


 募る苛々を鉄扉にぶつける。

 右足で蹴り付けたそこには、ガシャン、という音と一緒に凹みが出来た。

 ズボンのポケットに入れていた煙草を取り出した時、校内放送のチャイムが鳴り響いた。


『1年2組、高槻彰那! 今すぐ職員室に来い!』


 うるせぇよ……。