「なぁ、神宮……」

「職員室、行かなくていいの? 呼ばれてたでしょ」


 なんだよ。

 俺の事無視するくせして、そういうのはちゃんと聞いてるんだ?

 なんか、むかつく。

 苛々する。


「いいんだよ、あんなの。つか、俺の話聞けって」

「君と話すことなんて何も無いけど」

「俺はあるんだよ!」


 思わず荒げた声に、神宮も、周りに居たクラスのヤツらも、びっくりして俺を見ている。


 ――あー……苛々する。


 これじゃまるで、俺が神宮を虐めてるみてぇじゃねーかよ。

 優等生をイビる不良って感じか?

 誰がどう見てもそう見えるだろうな!


「見てんじゃねーよ」


 俺の事をジロジロ見る周りを睨み付けて、教室を出て行く。

 階段を上り始めた俺は一気に屋上まで行くと、錆びたドアを押し開けた。