「神宮って、何か男臭くないじゃん」


 ……ん?


「他のヤツらが話してるの聞いちゃったんだけど、このクラスって運動部多いでしょ?」


 堤の言うとおり、俺の所属する2組は運動部に入ってるヤツらが多い。

 確かこのクラスは、入試時の成績下位のヤツらが集まってるって話だけど……。

 そういや、なんで神宮は2組に居るんだ?

 中間で1位取れる実力があるんだろ?


「むさ苦しい中に神宮みたいなのが居ると、何だか可愛く見えてくるって……――」


 うわ……。

 やっぱそうなるのか。

 女顔のヤツってのはどこ行っても大変だな。

 きっと、このクラスで既に揶揄われたことがあるんだろう。

 だから俺の事警戒してたのか……納得。


「――……何て言うの? 高嶺の花的な?」


 うっかり考え込んでいた俺は、『高嶺の花』って言葉に堤と話している事を思い出す。

 言い得て妙だと思うが、本当にその通りだ。

 美人で、頭が良くて、その上あのツンツンした話し方。

 どこのお嬢様だっての。