「……そんなところで、何してるの?」

「門限間に合わなくって部屋に戻れねぇんだ。入れてくんね?」


 眼鏡くんは無言で窓を開け広げると、身体を横にずらした。

 サンキュ、って小さく言って、俺は窓枠に手を掛ける。

 ひょい、とそこに乗り上げて、靴を脱いでから床に着地した。

 そんな俺を、眼鏡くんは無表情に見ている。


 あれ……?

 こいつどっかで見たことある気がするけど……ま、いいや。


「このこと、先生に言うなよ」

「君が門限を破ったこと? それとも君がお酒を飲んでいること?」

「あ、やっぱ分かる?」

「アルコールの匂いがしてるよ。あと、煙草?」


 なんだコイツ。

 キレイな顔に似合わず、鋭くてキツい言い方をしてくる。

 女顔なのは咲都といい勝負だけど、こっちは何て言うか……女王様?

 そんな感じだ。