蜜月 -love is blind-【BL】

「お前さぁ……」


 歩く度に痛みの走る腹を押さえて、俺はゆっくりと神宮に近付く。

 隣に並ぶと、俺より少し背の小さい神宮が俺を軽く見上げた。


 そうだ。

 俺を、見ろ。


 神宮の眼鏡に反射した自分の姿が、見える。

 その奥の、黒く澄んだ瞳に、俺が映っているのが分かる。


「もっと笑えよ」


 瞬間。

 神宮の眉間にシワが寄った。

 美人の怒った顔は、別の意味で迫力がある。


 つーか、なんで怒るんだ?


「意味も無く笑え、と?」

「そうじゃねーよ。今みたいに不機嫌そうにしてんの、疲れねぇ?」

「馬鹿にしてるの?」

「あ゛ーっ! 何でそうなるんだよ!」


 やっぱコイツ変だ!

 会話が噛み合わない!