3本目の煙草に火を点けたところで、階段を上ってくる足音が聞こえてきた。

 耳はその足音に集中するものの、煙草を揉み消す気もなければ、屋上を出て行く気も無い。

 ここに来るのが先生だったとしても、今は何だかどうでもよかった。

 直ぐ近くで足音が止まって、ノブを回す音、扉を押し開ける音が壁を伝って直接頭に響いてくる。

 錆びて軋む音と共に屋上にやってきたのは――


「……じんぐう?」

「かみや、だよ」


 あの眼鏡くんだった。