蜜月 -love is blind-【BL】

 寮の裏手に回った俺は、塀に乗り上げ、そこに誰も居ないことを確認する。

 塀から飛び降りた瞬間、膝に違和感を感じたが、それには気付かないフリをした。

 問題はここからだ。

 敷地内には入れたものの、入寮して間もない俺は、外からだと自分の部屋がどこだか分からない。

 携帯の電池が切れた所為で、咲都に教えて貰うことも、窓を開けて貰うことも出来ない。

 少し考えて、どこでも良いから明かりのついてる窓を叩いてみることにした。

 どうせこの棟は一年なんだから、遠慮も何も要らないだろう。

 何かあっても、どうにかなるだろ。

 目に掛かる金髪を掻き上げて、俺は一番近い窓に歩み寄った。


 コンコン。


 軽く、叩いてみる。

 すると、程なくして青いカーテンが開けられた。

 照明の逆光で相手の顔が分かりにくいけど、眼鏡を掛けていることは分かる。

 俺が手をヒラヒラさせると、眼鏡くんが窓を開けてくれた。