「……んだ、弱ぇじゃん」


 口先だけかよ、つまんねぇ。


 1人がやられたことで向こうもバッチリ臨戦態勢になったみたいだ。

 これみよがしにパキパキ指を鳴らす、知らないヤツ。


「てめー、1年のくせして生意気なんだよ!」


 お決まりの台詞からして、知らない間に目を付けられていたらしい。

 そんなの、よくあることだ。

 大きな拳を振りかざして走ってくるソイツの足をめがけて、ギリギリに姿勢を落とした俺は蹴りをくれてやる。

 目の前で派手に転ぶソイツは、もろに顔面をコンクリートに打ち付けたみたいだ。

 口を押さえる指の隙間から、血が見える。


「あんたら一体何な訳? 文句あんならさっさと言えよ!」

「お前のそういう先輩を敬わない態度が生意気だっつーんだよ!」

「敬うも何も、てめぇら何にもしてねぇじゃん!」


 実力も何も伴わないのに、先輩面だけはしっかりする。

 はっきり言って、バカバカしい。

 そういうどうでもいい上下関係なんかクソ食らえってんだ!