踵を返して階段を上った俺は、真っ直ぐに屋上を目指した。

 少し錆びたドアノブを回すと、ギッ、という音を立てて、鉄製の扉が開く。

 グラウンドの声が遠くに聞こえるそこには、見覚えのありすぎる顔が3人と、知らないのが2人。


「なんの用っすか? 先輩」


 扉の横の壁に背を預けて、俺は先輩達と対峙する。


「久し振りだなぁ、アキナちゃん」

「……っ!?」


 おいおい、最初っからソレかよ!

 いい度胸してんじゃねーか!


「陸上部、辞めるんだってな」

「辞めるんだったら挨拶くらいしろよ。世話してやったんだからさ」


 何が世話だ。

 誰がてめーらの世話んなったっつーんだよっ!


 込み上げる怒りに任せて、まずは1人。

 俺を『アキナちゃん』て呼んだヤツの腹に右ストレートを1発。

 呻きながら腹を押さえるソイツを蹴り飛ばした。