学校へ行ってしまえば、クラスが違う所為で咲都に会うこともなく。

 怪我したことと部活のことで担任と顧問に呼び出されたり、クラスのヤツらに色々聞かれたり。

 あれこれ考える暇もなく、一日が終わってしまった。

 慣れない松葉杖もどうにか使える様になったが……腕の力で杖を支えて歩くもんだと思っていたけど、思いの外杖に体重を掛けているみたいだ。

 脇の下が痛くなる。

 どうしたらいいもんかと考えながら寮の廊下を歩いていると、丁度咲都が部屋の鍵を開けているところだった。

 俺に気付いた咲都の視線が冷たい。

 まだ怒ってるのがよく分かる。


「た、ただいま」


 俺がそう声を掛けると、咲都は無言のまま扉を開け広げた。

 咲都なりに気遣ってくれているんだろう。

 サンキュ、って小さく声を掛けて中に入ると、玄関の戸を閉めるなり、咲都は自室に駆け込んだ。

 分かり易すぎる態度に、俺は思わず苦笑した。