朝。

 ベッドから下りて自室を出ると、ちょうど咲都が部屋から出て行くところだった。

 制服を着て、靴を履いて、そこに立ったまま止まっている。

 俺が自室から出てきた事に気付いてるはずなのに。

 俺のこと無視して出て行きやがった。

 勿論、朝飯の準備なんてされてない。

 寝癖のついた髪をがしがし掻いて、俺は欠伸をひとつ。


 仕方ねぇ、学食行くか。


 食事はいつも、咲都が用意してくれていた。

 部屋には簡易キッチンがあって、火は使えないけど料理は出来るようになっている。

 学食で食べるもよし、自炊するもよし。

 俺は咲都に甘えて、アイツの作るメシを毎日食ってた。

 入寮してから、ずっと。


 なんか、調子狂う。


 初めて行く寮の学食は賑わっていて、鬱々とした気分が紛れる気がした。

 今日のメニューは、焼き魚にみそ汁、納豆、豆腐サラダ……いかにも朝飯って感じだ。

 でも、咲都の作るみそ汁のがうまいな、なんて思う俺は、贅沢だろうか。