「……ち、くしょ……っ」


 もう、決めたのに。

 全て、捨てるって、決めたのに。

 溢れてくる気持ちが抑えられなくて。

 自分が情けなくて、怪我したことが信じられなくて。

 思わず俺は――


「――……ぅ、あッ!!」


 自分の右膝を叩いていた。

 全身を駆け抜ける痛みを、拳を壁に打ち付けることでどうにか堪える。

 目尻に溜まった涙を拭うことも出来ずに、ただその場に蹲っていた。