「怪我の具合、どうなの? 次の大会、大丈夫だよね!?」


 そんなに変わらないはずの身長差。

 だけど、潤んだ大きな瞳に上目遣いで見詰められている気がして。

 咲都からの視線が、痛くて。

 俺は、目を反らして俯いた。


「……靭帯、損傷」


 自分で言うことで、現実を思い知らされる気がする。


「……え?」

「いい機会だから、辞めるよ」

「……彰那?」

「陸上は辞める。もう、決めたんだ」