蜜月 -love is blind-【BL】

 
「──彰那?」


 扉をノックする音と同時に、咲都が俺を呼んだ。

 俺も神宮もびくりと身体を強張らせ、物凄い勢いでベッドから跳ね起きる。


「な、何か用か?」


 突然の事に、声が裏返ってしまった。


「神宮くん帰ってないよね? 夕ご飯一緒にどうかな、って思って」

「あ、ああ、神宮の分も頼むな」


 咲都がいることを、すっかり忘れていた。

 幸いにして部屋の戸は開けられることなく、足音が遠ざかっていく。

 安堵の息を吐いて神宮を見遣れば、ベッド脇で戸に背を向けて正座していた。

 もちろん、服の乱れも直ってる。

 そんな神宮の姿に思わず吹き出すと、顔を真っ赤にして俺を睨み上げた。


「……っ、なんだよ」

「……スケベ」

「はぁ!?」


 イキナリ何を言い出すかと思えば……!

 そりゃねーだろ!!