「なに泣いてんだよ。そんなに俺と会えて嬉しいのかよ?」


 茶化すみたいに言ってやれば、きっと顔を赤くして怒るだろうと思ったけど。

 神宮はそのまま真っ直ぐ、俺に視線を合わせてきた。


「俺、高槻の気持ちを疑ってた。時間が経てばきっと、あの時の事は気の迷いか何かだった、って、高槻はそう思うんじゃないかって」

「それで、何も言わずに帰ったのか?」

「40日もあれば、浮わついた熱も冷めると思ったんだ。けど、そんなこと……」

「そーゆーお前はどうなんだよ」

「冷めてたら、今君とこんなことしてないよ……っ」


 頬を赤らめる神宮のことが、好きすぎて。

 本当に愛しく思えて。

 ほんの少し日に焼けた横顔に手を添えて、引き寄せられるみたいに、キスをした。

 強く抱き締めて、何度も何度もキスをして。

 会えなかった40日を埋めるにはまだ足りないけど、今こうして神宮が俺の腕の中にいるという事実が、何よりも幸せだと思えた。