「煩い声がすると思えば君か……。他人の部屋で大声出すの、やめてくれる? 迷惑だよ」


 40日振りに見る神宮の姿、そして、神宮の声。

 不機嫌な顔をする神宮の言葉を無視して、俺は無理矢理神宮の部屋に押し入って、強く扉を閉めた。


「神宮……」


 俺を見上げる瞳はやっぱり冷たくて。

 少し短くなっている髪とか、ほんの少し日に焼けた肌とか。

 俺の知らない間に、俺の知らないところで、神宮が少し変わってしまった様な気がして。

 それがなんだか、無性に悔しくて。

 殆ど衝動的に、神宮を抱き締めていた。


「……ちょ、高槻っ!?」

「勝手に居なくなってんじゃねぇよ」


 どれだけ俺がお前に会いたかったか、分かるか?

 何も言わずに居なくなったお前のことを、俺がどれだけ考えていたか、分かるか?


「た、かつき、苦し……っ」


 背中を叩かれて我に返った俺は、抱き締める力を緩めても神宮を放すことはしなかった。

 会えない上に連絡も取れない期間が長すぎて、今コイツを放したら、また遠くなっちまうような気がして。

 怖いような、淋しいような、柄にもない感情が沸き起こってきた。