夏休み。

 そう、夏休みに突入したんだ。

 俺と咲都は実家が近い所為もあって、わざわざ帰るようなことはしない。

 別に家族とうまくいってない訳じゃねぇけど、寮の方が気楽で良い。

 咲都もそんなようなこと言ってたし、学食は夏休み中でも開いてるし。

 空調だってバッチリだ。

 さすが私立校。

 ここにいて不便な事なんて、何ひとつ無い。 


「神宮くんも、今頃実家で夕ご飯かな。後でメール送ってみたら?」

「メール……あ!!」

「うわっ、急にどうしたの?」

「アドレスも、番号も、聞いてねぇ……」


 毎日学校で会うし、寮でも会えるし、携帯の事なんて気にしたこと無かった。

 やっべぇ、俺、超バカじゃん……。


 見えないナニカに打ちのめされた気分だ。