「ほら、やっぱり痛いんじゃない」


 思わず歪む顔を見られて、俺はもう何も言えない。

 手を引いた神宮は、溜息を吐いて椅子に凭れた。


「動きがぎこちないから、おかしいと思ってたんだ」

「や、だからさ、大したことねぇから、気にすんなって」

「気にするよ。だって、それ……昨日の……」

「もういいから!」


 俺は大声を出して、テーブルを叩いた。


 大きな音にびっくりしたのは神宮だけじゃなくて。

 恥ずかしそうに俯く神宮に、取り敢えず「ごめん」と謝った。


「昨日のことは、もう忘れろ」

「……忘れていいんだ?」


 残っていたポテトを口に運びながら、神宮が静かに言うもんだから、ふと、昨日の……神宮とキスしたことを思い出してしまった。

 それに、さっき「彼女出来ない」って言われたこととかも思い出して……。