翌朝。

 思った通り、俺の腕はパンパンに腫れ上がり、少し動かす度に痛みが走る。

 腕が、上がらない。

 肘から下は動くけど、肩が動かせない。

 そんな状態の中、どうにか着替えて部屋を出ると、朝食の準備を終えた咲都が先にテーブルに着いていた。


「彰那は何飲む?」

「牛乳」

「今更飲んでも背は伸びないよ?」

「煩ぇよ」


 たわい無い会話はいつものこと。

 けど、牛乳が注れたグラスを受け取る事は出来なかった。


「彰那、大丈夫?」


 グラスをテーブルに置いた咲都が、心配そうに顔を歪めて聞いてくる。


「放っときゃ治る」


 吐き捨てる様に言って、俺は朝食にありつく。

 今朝のメニューは純和風。

 焼き魚に卵焼きに煮物。

 俺の母親の料理よりも、あきらかに美味い。