「神宮……」


 なんかもう、どうしていいか分かんねぇ。


 ベッドに乗り上げた俺は、神宮の薄い肩を掴んで無理矢理顔を上げさせた──


「……んで、泣いて、んだよ」


 真っ赤になった目から、止めどなく涙が零れている。


 もしかして、俺の所為?

 俺が、泣かせた?


「……ぅして……、どう、して……戻ってくるんだよっ!」


 弾けるみたいに言葉を吐き出した神宮は、俺の手を振り払って両手で目元を押さえた。

 指に絡まる黒髪が、くしゃくしゃになっていく。

 頬を流れた涙が、顎で雫になっていた。


「こんな、顔……君に、見られたくなかった、のに……っ」


 辛そうに吐き出す神宮を見てるのが辛くて……。


「……ごめん」


 俺は思わず呟いて。

 腕の痛みも忘れて、神宮を抱き締めた。


 自分でも、どうしてそんなことをしてるのか分からない。

 でも、無理して強がる神宮を放っておけなくて。


 ひとりで、泣いて欲しくなくて。