「俺は、大丈夫だから」

「大丈夫だったら、いつまでも布団被ってんなよ」


 俺がそう言ったのが気に障ったのか何なのか。

 むくりと起き上がった神宮は、真っ赤に腫らした目で俺を睨んでくる。

 睨まれても怖いとかじゃなくて、寧ろそんな神宮を見ているのが辛くなってくる感じだ。


 ──やっぱ、放っておけねぇ。


「無理してんじゃねーよ」


 俺の言葉に、神宮の肩が揺れる。

 ぎこちなくさ迷う視線が、神宮らしくない。


「無理なんて、してないよ」

「嘘だ」


 いつもの神宮なら、そんな風に言わない。


「なんで俺から目ぇ背けてんの?」


 俺の目を真っ直ぐに見て、俺のこと、バカだ何だって言うお前はどこに行った?


「そんな、つもりは……」

「だったら、俺を見ろよ」


 神宮は、何も言わずに両足を抱えて膝に額を付ける。

 完璧に、その視界から俺を遮断しやがった。


 そんな態度の神宮に対して、俺の心に小さなトゲが生まれる。