神宮の部屋の扉を叩くと、同室のヤツが出てきた。

 俺を見たソイツはびっくりして妙な声を上げていたが、俺は構わず部屋に乗り込んで、今度は神宮の個室の戸を叩いた。


「神宮! 入るぞ!!」


 絶対に返事がないと踏んだ俺は、言葉と同時に戸を開けた。

 蛍光灯が煌々と光っている中で神宮は小さく丸まって、頭までタオルケットにくるまっている。

 後ろ手に戸を閉めた俺は、ベッドに駆け寄った。


「神宮!」

「……大きな声、出さないでくれる?」


 不機嫌で小さな声だけど、直ぐに返事が返ってきたことに、俺は安堵の息を吐いた。


「……何か、用でもあるの?」


 タオルケットにくるまっている所為で、神宮の声が余計に小さく聞こえる。

 その声の小ささが、更に俺の心を締め付ける。


「用っていうか……お前が、心配で……」

「君に心配される憶えなんて、無いよ」


 冷たい言い方が、逆に無理している様に聞こえてしまう。