「彰那って、よっぽど神宮くんのこと好きなんだね」

「はぁ!?」

「だってそうでしょ。今まで彰那って学校の友達と仲良くしてたことないじゃん。どこで知り合ったか分からない不良グループの人達とばっか遊んでて、心配だったんだよ」


 俺が神宮を、好き、って……。

 なんだ、ソレ。


「でも、神宮くんみたいなしっかりした人と友達になれたなら、僕の心配も減るかな」


 咲都は、神宮のことを「しっかりした人」だと思ってるのか。

 あんなにひょろっこくて、たかがドッジボールで突き指するようなヤツだぞ。

 勉強ばっか出来たって、その他のことが危なっかしいんじゃ駄目だろ。

 それに……。


「……っ」

「彰那? どうしたの?」


 あんな弱々しい神宮を見ちまったら、やっぱ、放っとけねぇよ。

 震えてた肩とか、俺の手を握ってきた神宮の手の冷たさとか。


 多分、今。

 神宮の弱さを知ってるのは、俺だけだ。 


 そう思ったらいてもたっても居られなくなって。

 自室に駆け込んでTシャツを着た俺は、急いで玄関に立った。


「悪ィ。メシは先に食っててくれ」

「ちょっと、どこ行くの?」

「神宮んとこだっ!」


 言い捨てて、俺は廊下に飛び出した。