「病院とか、行かなくて平気?」


 ソファに2人で座り、咲都に湿布を貼って貰った。

 貼り付けた瞬間の、あのヒンヤリ感が苦手なんだけど、咲都には絶対に言えない。


「ああ。ごめんな、咲都」

「……ちょっと、何いきなり謝ってるの。気持ち悪いよ」

「てめぇ……」


 俺が素直に言ってんのに、心配掛けて悪かったって思って言ったのに……その言いぐさはねぇだろ!

 苛立つ俺を無視して、咲都はぱたぱたと台所に戻っていく。


「そういえば」


 まるでさっきのことが無かったみたいに、咲都が急に話を振ってきた。


「僕、ドッジボールに出てたんだけど、ウチのクラスと彰那のクラスが当たった時に、神宮くんが怪我しちゃったみたいなんだよね。大丈夫だった?」

「あ? ああ……ただの突き指だったから、心配ねぇよ」


 俺がそう返すと、咲都は何だかニヤニヤと妙な笑顔を浮かべてる。


「……なんだよ」

「何か、嬉しくって」

「あ?」


 何の脈絡もない咲都の言葉に、俺は思わず間抜けな声を出す。