「何をしたらそんな風になるの? 喧嘩しないでって僕何回も言ってるよね!?」

「や、だからさ、喧嘩じゃねぇって」

「ただの打ち身とかでもなさそうだけど?」


 喧嘩じゃない、って何度言っても、咲都は信じてくれなかった。

 実際の所、喧嘩じゃないとは言い切れないし、今までに何度も喧嘩で負った傷を咲都に見られてる。

 それに、本当のことを言うわけにもいかない。

 信じて貰えないのは、仕方ないんだ。


 そっか……。


 なんか、分かった気がする。

 神宮も、咲都も、同じだ。


 俺が2人を裏切るようなことばっかやってるから、駄目なんだ。


 人生の殆どを一緒に過ごしてる咲都にさえ、伝わらないことがあるのに、たった1ヶ月程度しか付き合いのない神宮に俺の何が伝わるって話だ。

 それが分かったところで、どうしようもねぇんだけど。